3.特に気をつけたい一般用医薬品・要指導医薬品と健康食品・サプリメント

1.胃腸薬に注意

胃腸薬にはヒゲナミンやストリキニーネ(いずれも禁止物質)を含有する生薬チョウジやホミカが成分として含まれているものがあります。ヒゲナミン(チョウジ)はベータ2作用薬、ストリキニーネ(ホミカ)は興奮薬として禁止され、検出されれば直ちに違反です。
胃腸薬を使う場合は禁止物質が含まれていないことを確認しましょう。

2.滋養強壮薬に注意

滋養強壮薬には、禁止物質である蛋白同化薬(テストステロン)及びホルモンの関連物質を含む漢方薬、また、禁止物質であるストリキニーネ(ホミカ)が含まれているものがあります。そして、医薬品以外のいわゆる健康食品として、滋養強壮目的の錠剤やドリンク剤が多数市販されており、これらの中にテストステロン等の関連物質が含まれている可能性も否定できません。国体期間中に限らず、普段から使用しないようにしましょう。
*蛋白同化薬及び関連物質には、テストステロン、メチルテストステロンの他に、生薬成分である、海狗腎(カイクジン)、麝香(ジャコウ)、鹿茸(ロクジョウ)などがあります。

3.毛髪・体毛用薬に注意

毛髪・体毛用塗り薬では、男性ホルモンが配合されているものがあり、禁止されています。国体期間中に限らず、普段から使用しないようにしましょう。
*ペレウス(森下仁丹、日邦薬品工業)ミクロゲン・パスタ(啓芳堂製薬)など
*一般用薬ではないが、円形脱毛症に糖質コルチコイドの内服が使用されることがあり、TUE申請が必要となります。

4.鎮咳去痰薬に注意

市販の鎮咳去痰薬に含まれるトリメトキノール、メトキシフェナミンは禁止物質とみなされます。また、生薬の南天実にはヒゲナミン(禁止物質)が含まれます。

5.漢方薬に注意

漢方薬を構成する生薬には、それぞれたくさんの成分が含まれており、1つ1つの成分が禁止物質にあたるかどうか特定するのは困難です。漢方薬にも明らかに禁止物質を含むものがあり、例として、丁子、附子、細辛、南天実、呉茱萸にはヒゲナミン、麻黄にはエフェドリンやメチルエフェドリン、プソイドエフェドリン、ホミカにはストリキニーネ、そして前述の滋養強壮薬には蛋白同化作用を示す成分が含まれています。また、半夏にも微量ですがエフェドリン類が含まれるので、注意が必要です。さらに名前が同じでも製造販売会社、原料の産地、収穫の時期などで成分が違うことがあります。また、カタカナ表記で西洋薬と間違えてしまうような漢方薬もあります。
〇漢方薬のTEU申請について:一般的に漢方薬を使用しなくても疾患の治療が可能な場合、TUE国際基準に付与基準に該当せず、承認されません。また、漢方薬が含有する禁止物質が特定できない場合TUEは申請できません。TUEは物質を申請して、その物質に対して治療使用特例が認められます。漢方薬の方剤名は物質名ではありませんので、方剤名でTUE申請はできません。

6.風邪薬に注意

多くの総合感冒薬(いわゆる風邪薬)には禁止物質のエフェドリンやメチルエフェドリン等が含まれ、また、のど飴には禁止物質のヒゲナミンが含まれているものもあるため、注意が必要です。

7.その他の注意する医薬品

鼻炎用薬:市販の鼻炎用薬には興奮薬として禁止されているプソイドエフェドリンが配合されてることが多く、注意が必要です。

鼻づまりの点鼻薬、点眼薬:ナファゾリン等の血管収縮剤は、点鼻・点眼を含む局所使用が許されていますが、何回も多量に使用して体内に吸収されると、アンチ・ドーピング規則違反が疑われる可能性があります。また、点鼻薬は連用により鼻づまりを悪化させる恐れがあります。

アレルギーの内服薬:市販のアレルギー用薬には禁止物質が配合されていることがあり、注意が必要です。

8.健康食品・サプリメントに注意

国内外で多数の健康食品・サプリメントが入手できますが、世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、スポーツでのサプリメントの使用を推奨していません。
また、「JADAサプリメント分析認証プログラム」は、2019年3月31日をもって終了し、国内で問題なく使用されてきたJADA認証サプリメントが使用できなくなりました。そのため、アスリートは何を基準にサプリメント選ぶべきかを考える必要があります。

国立スポーツ科学センター(JISS)はスポーツに関するサプリメントを2つに分類し、サプリメントの必要性や内容については、年齢、性別、体格、競技種目、トレーニング内容、身体づくりの目的、個々の生活活動量や体調に合わせた対応が必要であるとしています。

1.ダイエタリーサプリメントおよびスポーツフード:食事から十分な量が摂取できない場合に補われる栄養素や成分
2.エルゴジェニック:運動能力に影響する可能性のある栄養素や成分
                                                                                                                                                                                 引用:アスリートの食事ハンドブック

●サプリメントを選ぶ時の注意
JISSが示す「ダイエタリーサプリメントおよびスポーツフード」のように、食事から十分な量が摂取できない場合に補われる栄養素や成分のサプリメントが必要になった場合、個々の生活活動量や体調などに合わせた対応だけでなく、アンチ・ドーピングについても注意が必要になります。このような時の判断には、Supplement411の「High Risk List」を確認したり、アンチ・ドーピング認証を取得したサプリメントを使用したりすることでリスクを減らすことができます。

➀Supplement411「High Risk List」をチェックする
米国のアンチ・ドーピング機関「USADA」の公式サイトにはサプリメントの安全性に関するコンテンツ「Supplement411」があり、禁止物質を含むサプリメントのデータベース「High Risk List」(リスト閲覧にはユーザー登録が必要)が掲載されています。サプリメントの中には汚染などにより禁止物質が入っている場合もあり、表示成分に禁止物質が含まれていなくても、すべての含有物質が明記されているわけではありません。商品名だけでなく会社名がリストに掲載されているかどうかなども参考にして判断します。
(参考)Supplement411 https://www.usada.org/substances/supplement-411/

②ガイドラインに基づいたサプリメントを選択
これまではJADAによるサプリメント分析認証プログラムがあったが、この認証プログラムは2019年3月31日をもって終了となりました。
(参考)JADAサプリメント分析認証プログラムの終了について https://www.playtruejapan.org/topics/entry_img/190403_3.pdf
同日「スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン」が公表され、アンチ・ドーピング認証を希望する事業者は規定の生産施設審査を受け、認証を取得することが必須であり、製造管理や保管、輸送などが評価の対象項目となること、また、製品分析を年に1度以上実施し、結果を公開することも求められています。
(参考)スポーツにおけるサプリメントの製品情報公開の枠組みに関するガイドライン https://www.playtruejapan.org/entry_img/s-guideline.pdf

現在、(公財)日本分析センターがスポーツサプリメント製品の情報を公開しています。また、第三者によるサプリメント認証は、米国NSF社の「Certified for Sport」、英国LGC社の「Informed-Sport(IS)」、「Informed-Choice(IC)」、米国BSCG社の「Certified Drug Free」などの製品や原料が流通しています。リスクを軽減するには、これらの情報を参考にしてください。ただし、これらは製品の完全なる安全を保障するものではなく、あくまで自己責任となります。

●サプリメントの必要性を考えよう
アスリートから「サプリメントを服用したい」と相談された場合、食事から栄養が十分に摂れずに本来の能力が低下してしまうJISSが示す「ダイエタリーサプリメントおよびスポーツフード」は、アンチ・ドーピングに対応したサプリメントの服用が勧められます。しかし、アンチ・ドーピング制度において競技力向上の効果がある物質は禁止物質として厳格に禁じられていることからすれば、服用が許されているサプリメントには競技力向上の効果がないはずなので、果たしてサプリメントを服用するメリットが本当にあるのか、ということをアスリートと一緒に考えていただきたいと思います。
最終的には、サプリメントの摂取はアスリートの判断になりますが、サプリメントによるドーピングの違反となる場合のデメリットと、サプリメントを服用するメリットを今一度比べ、薬剤師のリテラシーを駆使してアスリートをサポートしてください。

 

日本医薬情報センター(JAPIC)
http://www.japic.or.jp/

iyakusearch (医薬品情報検索)
http://database.japic.or.jp/is/top/index.jsp
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