サツマイモ

サツマイモ
名称 サツマイモ(からいも・甘藷)
属科 サツマイモ属 ひるがお科
学名 Ipomoea batatas Lam.
var. edulis Makino

 サツマイモは、1年中店頭に並んでいて、いつでも利用できる塊根部が肥大した芋を食用にしますが、終戦後は食糧難で、配給される貴重な食材はサツマイモでした。母はお腹が空いていないからと昼食を抜いて食べさせてくれたものです。子供達が幼稚園時代には芋掘り遠足があり、親の同伴が許され喜んで参加しました。食料として、こんなに身近なサツマイモですが、サツマイモの花にはお目にかかったことはありませんでした。「どなたかサツマイモの花の写真を見せてくださ〜い。」と声をかけておりましたとき、「鹿児島では花をよく見ますよ。父に(おしゅうと様)にお願いして写真を撮ってもらいましょうか。」と女性薬剤師の方が引き受けて下さいました。まもなく心待ちにしておりました写真がmailに添付されて送られて来ました。こんなに嬉しかったことはありません!!本当にありがとうございました。
中央が濃い紅紫色で全体は淡い紅紫色のアサガオにそっくりで、少し小振りな愛らしいお花ですね。

撮影日   平成21年10月11日午前中
撮影場所  鹿児島県鹿屋市串良町
撮影者   東二町 光隆 氏


来歴

 中米のメキシコで発見されている野生種のイポメア・トリフィダ Ipomoea trifida 群中の染色体数の6倍体から栽培作物として育成されたものがサツマイモと考えられるようです。中米・熱帯域では古くから重要な主食として栽培され、北米のインディアンにより栽培がすすみました。1492年にコロンブスによりスペインに伝えられ、ヨーロッパへと広まり、東方へは、ポルトガル人によりマレー群島から1594年ごろ中国の福建に、日本へは1605年(慶長10年)に琉球へ、長崎、薩摩(鹿児島)を経て、山陽、関東へと伝播された模様です。サツマイモは大正時代半ばから農林省により人工交配が行われ、積極的に品種改良され、用途別に食用、食品加工用、焼酎、でんぷん・アルコール原料、飼料用にと優良品種が次々に生まれました。戦争中は主食や救荒野菜として栽培されました。現在、収量は世界的に1億トンをこえ、アジアが92%を占め、その中で中国が85%、インドネシア、インドが続きます。日本の生産量は世界全体の1%を占めるにすぎません。主産地は鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県を中心に暖地で栽培されています。
 種芋を苗床に伏せて植え、30℃で1週間置くと多数の芽が出ます。畑は高い畝を作り、地温が18〜20℃以上で発根しますから30〜45cm間隔に定植にします。茎はつる性で地面をはい、花は温帯地域では晩秋に、まれに咲き、亜熱帯や熱帯地域では4〜5個ずつ紅色、淡紅色の漏斗状の花が咲くようです。連作は可能で、むしろ品質が向上することが知られています。塊根の表面は紫色、赤色、黄白色の紡錘形、円筒形、球形など大きさは多様です。品種改良され農林1,2号、高系14号(鳴門金時・土佐紅)、紅赤(金時)、紅あづま、紅小町など。日本では、ほくほくとした甘い品種が好まれます。


成分特性と利用法

 主成分は炭水化物で、でんぷんがほとんどを占めますが70%は水分で、他の穀物に比べるとカロリーは1/3と低いのが特徴です。甘藷といわれるように糖質が多く甘みが強く、ビタミンA、B1、ことにビタミンC の含量は29mg/100gと高く、加熱にも比較的安定です。ブドウ糖、ジアスターゼ、アデニン、グアニジン、ベタイン、コリン等を含み、消化吸収がよく、食物繊維、カロテン、カリウムも多く含みます。
 芋の黄身が濃いほどカロテン含量が高く、黄身が紫色の品種はアントシアンを含み、九州の紫いも、沖縄の紅いもに見られ、菓子の原料に利用されます。サツマイモの特殊な成分にヤニ質の樹脂配糖体ヤラピン(ヤラピノール酸とオリゴ糖からなる)があります。生のサツマイモの切り口からヤニ性の白い乳液が出ますが手や器に付くと黒くなります。ヤラピンは便通をよくして健胃効果があるといわれます。また、芋に存在する酸化酵素がクロロゲン酸などのポリフェノールに作用してできた物質が、アミノ酸(蛋白質)と結合して褐変物質ができるため、乾燥中に褐色になってしまいます。この酸化酵素を取り除くために長時間80℃以上の水蒸気をあてて蒸し、干し芋に加工するようです。
 きんとん、甘辛煮、パイ、スイートポテト、あめ煮、さつまいもとりんごの重ね煮のように、更に甘味を追加した調理法が和・洋・中国料理によく使われています。ふかした芋に少量の振り塩は、甘味が強くなり甘味を出すコツですね。天ぷら、大学芋、バター焼き、中国料理のあめ煮などは、揚げ物として油を使ってなめらかさを増す方法も美味しさを引き出します。でんぷんは加工食品原料、あめ、ブドウ糖、医薬品、紡績糊、化粧品、ウイスキー、焼酎などの原料となります。
 切らずに蒸したり焼いたりすると中身が空気に触れないためビタミンCは安定で壊れにくく、また消化酵素のアミラーゼを含むため、切らずに丸ごと、60℃までにゆっくり加熱すると糖化がすすみ甘味が増します。穏やかな加熱と緩やかな温度上昇により、石焼き芋が美味しいわけが分かりました。蒸して干す芋は、干している間に表面全体に麦芽糖などの白い粉がふきます。このときが食べ頃、冬のおやつに最適です。1日1皿、芋類の摂取は老若男女を問わず、健胃、便秘、美容、健康に必要と言われます。
 幼稚園の落ち葉焚きや、河原で芋煮会のときの焼き芋は、友人や家族とのコミュニケーションとなり、すばらしい思い出になりますね。

英名: Sweet Potato、Spanish Potato
仏名: patate douce
独名: Batate
中国名: 紅藷、番藷
別名: 甘藷、琉球藷、唐薯


参照:

 「世界有用植物事典」「原色牧野和漢薬草大図鑑」
「化学大辞典」「日本食品大事典」「食品成分表」



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